「矯正って結局、見た目のためでしょ?」と思っていませんか?実は、噛み合わせの異常(不正咬合)を放置すると、将来の歯のバランスシートが大きく傷みます。**8020達成者(80歳で20本以上歯を残せた人)に、受け口・開咬の人は実質0%**というデータも🙀 今日は、放置するとマズい不正咬合TOP5を歯科医がランク付けでお届けします。
あなたの噛み合わせ、TOP5に入ってませんか?
ちょっと衝撃的なデータから始めます。
8020達成者(80歳で20本以上の歯を残せた人)を調べた研究で、反対咬合(受け口)と開咬(オープンバイト)の人は、実質0%でした。
つまり、この2タイプの噛み合わせを持っている方は、80歳まで20本以上の歯を残せていないということ🙀
これは東京歯科大学の宮崎晴代先生らによる 8020達成者の咬合調査 で報告されたデータです(『日本矯正歯科学会雑誌』2001年、『歯科学報』2005年)。歯科医療の領域では古くから知られている、一次出典のしっかりした数字です。
「えっ、噛み合わせって、そんなに将来の歯の本数に効くの?」と思った方、はい、効きます。
歯並びや噛み合わせの異常(=不正咬合(ふせいこうごう))は、放っておくと、
- 磨きにくい場所が物理的に出る → 虫歯・歯周病が同じ場所だけ繰り返す
- 特定の歯に力が集中する → 摩耗・破折・歯ぐきの退縮
- 噛み合わせ全体のバランスが崩れる → 顎関節症や食いしばりの悪化
- 結果、歯を失うスピードが速くなる
…という、地味だけど確実な悪影響を、何十年もかけてジワジワ与えてきます。
この記事のスタンス
最初にお伝えしておきたいのが、この記事は「みんな矯正しよう!」と煽る記事ではないということです。
歯科医師として誠実にお伝えするなら、
- 軽症の不正咬合で、セルフケアと定期検診をしっかりやれている人 → 矯正不要なケースも多い
- TOP5に該当する人 → 「投資として」矯正を検討する価値が大きい
…と、はっきり線を引くべきだと思っています。
そこで今回は、「放置するとマズい不正咬合TOP5」を歯科医視点でランキングして、ご自身が該当しているか判定できる記事にしました。
お金と健康の両面から本気で考えたい方に届くテーマなので、ぜひ最後まで読んでみてください☺️
そもそも"不正咬合"って何?
まずは前提知識から。
不正咬合は、ざっくり言うと「歯並びや噛み合わせの異常」のこと。
日本矯正歯科学会と厚生労働省 e-ヘルスネットでは、専門用語として明確に定義されています。
主な種類は次の9つです。
不正咬合の9種類(オーバービュー)
ここはサクッと並べます。詳しい解説は3章のTOP5で深掘りするので、ざっくりイメージだけ掴んでください。
・叢生(そうせい):歯がガタガタに重なって並んでいる、八重歯もこれ ・上顎前突(じょうがくぜんとつ):いわゆる出っ歯 ・下顎前突(かがくぜんとつ):いわゆる受け口、反対咬合 ・開咬(かいこう):奥歯を噛んでも前歯が閉じない ・過蓋咬合(かがいこうごう):噛むと下の前歯が見えないほど深く覆う ・空隙歯列(くうげきしれつ):すきっ歯 ・交叉咬合(こうさこうごう):部分的に上下の咬み合わせが反対 ・片側噛み(偏咀嚼):いつも片側だけで噛む癖 ・正中線のズレ:上下の前歯の中央線がズレている
「専門用語が一気に出てきて頭が混乱…」という方、ご安心ください。
この記事で覚えてほしいのは、上の9つのうち、特に注意が必要な"TOP5"だけです。
“見た目の問題"より"機能の問題”
ここでひとつ、矯正に対する大きな誤解を解いておきたいんです。
「矯正歯科って美容のためでしょ?」というイメージ、ありますよね。
実は日本矯正歯科学会の公式見解では、「食べる・話す・噛むの機能改善」が一義的な目的と明記されています。
つまり、
正しい噛み合わせ=健康な歯を長く保つための土台
…という位置づけなんです。
美容効果はあくまで結果的についてくるオマケ。本筋は健康の話、というのが医学的な立て付けです🦷
ここを理解しておくと、TOP5の話がスッと頭に入ります。
【本題】放置するとマズい不正咬合TOP5
ここからが本題です。
歯科医視点で、**「放置するとマズい度」**が高い順にランキングしました。
ご自身の口の中をイメージしながら読んでみてください。
第1位: 反対咬合(受け口) / 開咬(オープンバイト) ─ タイ
なぜ第1位かというと、8020達成者にこのタイプが実質0%という衝撃データがあるからです(宮崎晴代先生ら、2001年・2005年)。
つまり、80歳まで20本以上の歯を残せた人の中に、受け口や開咬の人がほぼ存在しない、ということ。
これがどれほど深刻かは、想像できる方も多いと思います😱
なぜそうなるのか?
理由はシンプルで、前歯がきちんと機能していないからです。
健康な噛み合わせでは、前歯は「噛み切る」、奥歯は「すりつぶす」という分業ができています。
ところが、
・反対咬合(受け口):下の歯が上の歯より前に出ているため、前歯で噛み切れない ・開咬:奥歯を噛んでも前歯がくっつかないため、前歯で噛み切れない
…という状態だと、奥歯が前歯の仕事まで肩代わりすることになります。
その結果、奥歯に異常な負担が集中して、
・摩耗が早く進む ・歯にヒビが入る(マイクロクラック) ・歯周病が局所的に進行する ・最終的に奥歯から失われていく
…というドミノ倒しが、40〜50代から本格化します。
加えて、開咬は口呼吸を伴いやすいので、口腔乾燥→虫歯・歯周病リスク増、睡眠の質低下まで連鎖します。
「自覚症状が少ないまま、奥歯から確実に失っていく」 ─ これが第1位の正体です👿
第2位: 過蓋咬合(かがいこうごう) ─ ディープバイト
「カガイコウゴウ?」という方、ご安心ください。一言でいうと、噛んだとき下の前歯がほとんど見えないくらい上の前歯が深く覆っている状態です。
なぜマズいのか?
このタイプの怖さは、自覚症状がほぼないまま、何十年もかけて前歯と歯ぐきを破壊していくところ。
具体的には、
・下の前歯が、上の前歯の裏側を強くこすり続ける ・上の前歯のエナメル質(歯の表面の硬い層)がすり減る ・象牙質(エナメル質の下の層)が露出して、知覚過敏が出る ・さらに、下の前歯が上の前歯の歯ぐきを押し続ける ・結果、歯ぐきが下がる(歯肉退縮)、歯根が露出する
…という流れです🙀
40代以降に「前歯がすり減ってきた」「歯ぐきが下がってきた」と感じる方は、過蓋咬合が原因の可能性が高いです。
加えて、顎関節への負担も大きいので、顎関節症や食いしばり・歯ぎしりの誘発にもつながります。
「いつのまにか前歯がボロボロ」 ─ これが第2位の特徴です。
第3位: 重度の叢生(ガタガタの歯並び)
叢生(そうせい)は、いわゆるガタガタの歯並び。八重歯もここに含まれます。
「軽い八重歯くらいなら大丈夫でしょ?」と思った方、軽症ならその通りです。
問題は重度の叢生。
なぜマズいのか?
重度の叢生だと、歯ブラシやフロスが物理的に届かない場所ができます。
「届かない場所がある」というのは、つまり、
どんなにケアを頑張っても、その部位だけは磨けない
…ということ。
セルフケアの努力でカバーできるレベルを超えてしまうんです😭
その結果、
・特定の歯だけ何度も虫歯になる ・特定の歯ぐきだけ歯周病が進む ・気づいたら、その1本を失うところまで進行している
…という、「努力が報われない」状態が続きます。
しかも、下の前歯の重度叢生は、歯周病の進行と関連があるという系統的レビュー(複数の研究をまとめた信頼度の高い解析)もあります。
「真面目に磨いてるのに同じ場所だけ虫歯」が続いている方は、重度叢生の可能性大です。
第4位: 交叉咬合(こうさこうごう) ─ クロスバイト
これは部分的に上下の咬み合わせが反対になっているタイプ。
なぜマズいのか?
このタイプは、自分では気づきにくいのがポイントです。
「気づかないなら別にいいのでは?」と思いますよね。実はそうではなくて、気づかないまま顔の骨格や顎関節に偏った負担をかけ続けているんです。
具体的には、
・部分的に逆の咬み合わせ → 噛むときに顎を不自然に動かす ・顎関節への負担が左右で偏る ・顎関節症(口が開きにくい、カクカク鳴る、頭痛の原因) ・顔の左右非対称が進む(目の大きさ・口角・アゴの位置のズレ) ・咀嚼能力低下
…という流れになります。
特に思春期以降の骨格固定後は、自然には治らないので、放置すると静かに悪化していきます。
「片側で噛むほうがラク」「顎を動かすとカクッと音がする」という方は、交叉咬合の可能性があります。
第5位: 上顎前突(出っ歯)+口唇閉鎖不全(くちびるが閉じない)
最後の第5位は、出っ歯のうちでも口を閉じづらいタイプです。
「出っ歯」全部がマズいわけではなく、口唇閉鎖不全(口がきちんと閉じない)を伴うものが特に注意、というのがポイント。
なぜマズいのか?
口がきちんと閉じないと、口呼吸が常態化します。
口呼吸は、見た目以上に全身への影響が大きい習慣で、
・お口の中が常に乾燥 → 虫歯・歯周病リスクが大幅に増加 ・歯ぐきが乾いて炎症しやすい ・睡眠の質が低下(いびき・睡眠時無呼吸症候群のリスク) ・集中力の低下、日中の眠気
…という連鎖を引き起こします😱
加えて、**出っ歯は前歯外傷リスク(転倒時に折れやすい)**も高いです。
「子どもの頃から口がポカンと開きやすい」「アゴに梅干しジワができる(口を閉じるとアゴに力が入る)」という方は、このタイプの可能性があります。
💡 食いしばりや口呼吸、夜の歯みがきの話は、こちらの記事で詳しく書いています。 → くいしばりで虫歯!? 歯みがきだけでは防げない虫歯リスクについて歯科医が解説 → 歯磨きしてるのに歯周病!? 歯科医が見てきた「5つの共通点」を解説
不正咬合のリスク(放置するとどうなる?)
ここまで読んで、TOP5に該当しそうな方は、ちょっと胸がざわつき始めているかもしれません🙀
ご安心ください。まずは「具体的に何が起きるのか」を整理しておきます。
不正咬合を放置すると顕在化する主なリスクは、次のとおりです。
リスク① 虫歯・歯周病リスクの増大
これが最大のリスクです。
不正咬合があると、歯ブラシやフロスが届かない場所が物理的に存在します。
「磨けない場所がある」 ─ これは、どんなにケアを頑張っても 構造的に防げないというレベルの話。
その結果、
・同じ場所だけ何度も虫歯になる ・特定の歯ぐきだけ歯周病が進む ・歯石が溜まりやすい部位ができる
…という流れが固定化します。
💡 フロスをきちんと使えば歯ブラシだけより歯垢の除去率が大きく上がりますが、それでも「物理的に届かない場所」は別問題です。 → 【歯科医師が解説】デンタルフロスは"種類"と"通し方"で効果が9割変わる
リスク② 特定の歯への力の集中 → 摩耗・破折
噛み合わせが悪いと、本来全体で受け止めるべき噛む力が、特定の歯に集中します。
すると、
・その歯のエナメル質がすり減る ・歯にヒビ(マイクロクラック)が入る ・最悪、歯が割れる(歯根破折)
…と、1本失う方向に確実に進みます。
歯根破折は、起きてしまったら、もう治す方法がありません。基本的に抜歯になります。
リスク③ 顎関節症
噛み合わせがズレていると、顎関節に偏った負担がかかります。
・口を開けるとカクッと音がする ・大きく口が開かない ・顎が痛い、こめかみが痛い
…といった症状は、顎関節症のサインです。
特に過蓋咬合と交叉咬合で起きやすいリスクです。
リスク④ 食いしばり・歯ぎしりの悪化
噛み合わせのズレは、夜の食いしばりや歯ぎしりを誘発・悪化させます。
寝ているときは最大で200kg近い力がかかるといわれていて、これが歯と歯周組織を確実に削っていきます。
不正咬合 × 食いしばり = 想像以上のダメージ、というイメージです。
リスク⑤ 発音への影響
これは特に**開咬・空隙歯列(すきっ歯)**で出やすいリスクです。
サ行・タ行で息が抜けて、滑舌が悪くなる方がいらっしゃいます。
仕事でプレゼンや営業をされる方には、地味に効くマイナスポイントです。
リスク⑥ 全身への波及(歯の喪失経由)
ここがいちばん大事な話。
不正咬合を放置 → 歯を失うリスク増 → 咀嚼能力低下 → 全身への影響、という連鎖です。
地域在住高齢者4,425人を追跡した調査では、
歯がほぼなく義歯も使っていない人は、20本以上残っている人と比べて認知症リスクが1.85倍
…というデータがあります(日本歯科医師会・健康長寿エビデンス2015)。
不正咬合は、この長い連鎖の入り口にあるんです。
“不正咬合は子どもの問題"は誤解 ─ 大人でも進行する
ここで多くの方が誤解されているポイントを、ガッツリ解いておきます。
「不正咬合って、子どもの頃の話でしょ?」
…と思っていませんか?
結論からいうと、これは誤解です。
不正咬合は、大人になってからも進行・新規発生することが現場では普通に見られます🙀
大人になってから進行する主な要因
① 歯の喪失の放置
歯を1本失って、補綴(ブリッジやインプラント等)をせずに放置すると、
・抜けたスペースに、隣の歯が傾いてくる ・噛み合う相手を失った対合歯が伸びてくる(挺出/ていしゅつ) ・噛み合わせ全体のバランスが崩れる ・もとは正常だった噛み合わせが、不正咬合に変わっていく
…という流れが起きます。
これがいわゆる「ドミノ倒し」現象。1本失っただけのつもりが、5年で3本、10年で5本…と連鎖していくケースは現場でもよく見ます。
💡 このドミノ倒しの詳細は、バランスシート記事で深掘りしました。 → 【歯科医が計算】歯1本=最大700万円の負債かも? 30代から知っておきたい『歯の健康バランスシート』
② 詰め物・被せ物の不適合
虫歯治療で詰め物や被せ物を入れたとき、ほんの少しでも噛み合わせの高さがズレていると、
・特定の歯に余計な力がかかる ・徐々に噛み合わせが歪んでいく
…ということが起きます。
③ 食いしばり・歯ぎしりによる二次的な変化
寝ているあいだの強い力で、
・歯がすり減る ・歯が動く(歯周組織の弱化で) ・噛み合わせが少しずつ変化していく
…という連鎖もあります。
④ 歯周病と噛む力で歯が押し出される(フレアアウト)
実は、大人になってから歯並びが崩れていく原因として、いちばん見逃されやすいのが 「フレアアウト」 という現象です。
「フレアアウト?? なにそれ?」と思いますよね笑
ざっくり言うと、歯が外側に押し出されて、前歯がだんだん前に出てきたり、すきまが開いてきたりする病的な動き のこと。
なぜ起きるかというと、こういう仕組みです。
・歯周病が進行する ・歯を支える骨(歯槽骨/しそうこつ)が少しずつ溶けて、土台が弱くなる ・そこに毎日の噛む力が、何百回・何千回と繰り返しかかる ・弱った土台のまま力で押されるので、歯が外側へジワジワ動く
歯を支える「骨の力」と、毎日の「噛む力」のバランスが崩れたときに、歯は 力に負けて押し出されていく わけです🙀
特にわかりやすいのが 前歯のフレアアウト。
ある日鏡を見て、「あれ?なんか前歯が出てきてない?」「すきまが開いてきた?」と気づくパターンです😭
「30代の頃と歯並びが違う気がする」というのは、ただの気のせいでも加齢でもなく、歯周病と噛む力のW攻撃で歯が動かされている サインかもしれません。
つまり、「子どもの頃に大丈夫だったから一生大丈夫」ではない
この章でいちばん伝えたいのは、
「不正咬合は、子どもの頃にチェックすれば終わりではない」
「むしろ、大人になってから進行・新規発生するパターンも多い」
ということ。
「自分は子どもの頃に矯正したから大丈夫」と思っている方こそ、定期検診で現在の噛み合わせをチェックしてもらってください☺️
セルフチェック ─ あなたの噛み合わせは大丈夫?
ここまで読んで「自分は該当するの?しないの?」と気になっている方向けに、鏡があれば1分でできる簡単チェックを厳選しました。
鏡で見て一発でわかる3つ
口を軽く開いて、鏡で確認してください。
・笑ったときに下の前歯がほとんど隠れる → 過蓋咬合の疑い ・笑ったときに下の歯が前に出ている → 反対咬合の疑い ・奥歯を噛んでも前歯が当たらない → 開咬の疑い
ここに当てはまった方は、TOP5の上位に該当している可能性があります🙀
普段の生活で気づく3つ
毎日の自分を思い返してみてください。
・食事中、いつも片側だけで噛んでいる ・朝起きるとアゴが疲れている、口が開けにくい ・同じ歯ばかり繰り返し虫歯になる
これらは、噛み合わせのズレが原因で起きている可能性が高いサインです。
体に出ているサインを見つけたら
・前歯のエッジが平らにすり減ってきた → 過蓋咬合・食いしばりのサイン ・口を閉じるとアゴに梅干しジワができる → 上顎前突 + 口唇閉鎖不全のサイン
ここまで全部で 8つのチェック項目。3つ以上当てはまった方は、定期検診のときに 歯科医師に「噛み合わせもチェックしてほしい」 と一言添えてください🦷
「セルフチェックで引っかかった = 矯正必須」ではないので、ご安心ください。
まずは歯科医院で診断を受けて、本当に介入が必要なレベルかを判断してもらう、というのが正解の流れです。
矯正治療の概要 ─ 種類と費用感をサクッと
「セルフチェックで引っかかったかも…じゃあ矯正って実際どうなんだろう?」と気になった方のために、ざっくりだけ矯正治療の種類と費用感をお伝えします。
詳しい治療内容は別記事で深掘り予定なので、ここでは意思決定に必要な最低限だけ。
主な種類
・ワイヤー矯正(表側):費用相場 60〜130万円、期間 2〜3年。適応範囲が広い、目立つのが難点 ・ワイヤー矯正(裏側):費用相場 100〜170万円、期間 2〜3年。目立たないが高額 ・マウスピース型(インビザライン等)全体:費用相場 70〜120万円、期間 1〜3年。取り外し可、自己管理が必要 ・マウスピース型 部分矯正:費用相場 11〜80万円、期間 半年〜1年。軽症向け ・部分矯正(MTM):費用相場 30〜80万円、期間 数ヶ月〜1年。一部の歯だけ
別途、初回カウンセリング(5,000〜1万円)、精密検査(5万円程度)、調整料(月3,000〜1万円)がかかるイメージです。
治療期間の目安(成人)
・全体矯正:1.5〜3年 ・部分矯正:数ヶ月〜1年 ・治療後の保定(リテーナー):数年〜半永久
知っておきたい税制メリット
ここは特に大事なポイント。
口腔機能の改善が目的の矯正は、医療費控除の対象になります(美容目的のみは対象外)。
つまり、
・噛み合わせ改善 → 医療費控除 ◯ ・見た目だけが目的 → 医療費控除 ✕
…という線引きで、TOP5該当者の矯正は、ほぼ前者にあたります。
確定申告で1割〜数十万円戻ってくるケースもあるので、検討する際は税理士さんや歯科医院に相談してみてください。
(治療法ごとの細かい比較や、自分にどれが向いているかの選び方は、別記事でじっくり書きます☺️)
投資 vs 放置リスク ─ 歯のバランスシートで考える
ここがこの記事のクライマックスです。
お金の視点で考える方にいちばん腑に落ちるであろう、**「投資としての矯正」**の話。
矯正費 vs 放置リスクの天秤
ざっくり比較してみます。
【投資側】矯正費
・全体矯正:70〜120万円 ・部分矯正(該当する場合):30〜80万円 ・期間:1.5〜3年 ・1回の判断で、人生を通じての効果がある
【放置側】不正咬合を放置した場合の想定損失
直近のバランスシート記事で書いたとおり、歯1本失うと標準試算で約330万円、最大700万円の負債でした。
不正咬合(特にTOP5)を放置すると、
・複数本の歯を失う可能性が高まる ・歯周病・顎関節症・食いしばりの治療費が積み上がる ・将来、咀嚼能力低下 → 認知症リスク1.85倍 → 介護費用差(2年差で240〜720万円)
…と、長期で数百万〜1000万円超の損失リスクを背負うことになります🙀
つまり、こういう構図
リベ風に整理するとこんな感じです。
「いま100万円の投資で、将来1000万円超のリスクをヘッジする」
健康バランスシートを健全に保つための、シンプルな投資判断ですよね。
しかも、
・効果は一生もの(治療後の保定さえ継続すれば、効果は維持される) ・医療費控除の対象(税制メリットあり) ・認知症リスクや介護リスクまで間接的に下げられる
…という、お金で買える保険としては、相当コスパが良い部類だと思います。
「全員に矯正を勧める」わけではない
ただし誤解しないでほしいのが、「全員、すぐ矯正しろ」と言いたいわけではないということ。
歯科医として誠実にお伝えするなら、こうです。
・TOP5に明確に該当している方 → 投資として本気で検討する価値あり ・軽症の方、セルフケアで十分カバーできる方 → 必ずしも矯正は必要ない ・判断に迷う方 → まずは歯科医院で診断を受けてから決める
「全員にやれ」ではなく、「該当する人には強くオススメ」というスタンスです。
矯正治療自体にも、
・歯根吸収(歯の根が短くなる) ・後戻り(治療後に元に戻る) ・顎関節症の新規発生(まれ)
…といったリスクがゼロではありません。
「ちゃんと診断を受けて、必要なら本気で投資する」 ─ この順番が現実的な判断だと思います。
歯科医師の本音とまとめ + 子ども矯正の予告
ここまでおつかれさまでした🦷
長かったですが、最後に歯科医師として正直な本音をお伝えして、まとめに入ります。
矯正は"美容のため"だと思われ続けてきた
歯科の現場で、ずっとモヤッとしていることがあります。
それは、「矯正歯科 = 美容のため」というイメージが、社会に強く根付いていること。
患者さんに矯正を提案すると、
「美容のためにそんな大金は…」 「今さら見た目を気にしても」 「子どもにはいいけど、大人は別にいいかな」
…という反応が、本当に多いんです😭
でも、医学的に見れば矯正の主目的は機能改善。見た目はオマケです。
そして、**「機能を整える」=「将来の歯のバランスシートを守る」**という、お金のリターンに直結する話なんです。
お金の視点で考える方なら、この視点はスッと腑に落ちると思います。
「矯正を、美容ではなく投資の文脈で見直す」 ─ これが、今日いちばん持ち帰ってほしいメッセージです。
今日のまとめ
長くなったので、ポイントだけ整理します。
①8020達成者で反対咬合・開咬は実質0% ─ 不正咬合の放置は、確実に将来の歯の本数を減らす
②放置するとマズい不正咬合TOP5 1位:反対咬合(受け口)/ 開咬 2位:過蓋咬合(ディープバイト) 3位:重度の叢生 4位:交叉咬合(クロスバイト) 5位:上顎前突 + 口唇閉鎖不全
③不正咬合は大人でも進行する ─ 「子どもの頃の話」は誤解。歯の喪失放置・食いしばり・加齢で大人になってからも進行する
④投資 vs 放置リスクの天秤 ─ 矯正費70〜120万円で、将来の数百万〜1000万円のリスクをヘッジできる
⑤TOP5該当ならまず歯科医院で相談 ─ 全員に必須ではない。診断を受けてから投資判断を
次回予告: 子ども矯正は"親の投資判断”
実は、**子どもの矯正(1期治療)**には、大人矯正にはない大きなメリットがあります。
・顎の成長をコントロールできる(骨格レベルで介入できる) ・将来の永久歯抜歯を回避できる可能性 ・大人になってからの矯正費用と精神的負担を回避できる
…という、**親の投資判断としての"子ども矯正"**は、リベ的にもかなり面白いテーマです。
ただし、「とにかく早く始めれば良い」というわけでもなく、適切な時期に、適切なケースで介入することが大事。
このあたりは、別記事でじっくり深掘りする予定です。
「子どもの貯金より、子どもの口腔機能への投資」という視点で書きますので、子育て中のリベ会員さんはお楽しみに☺️
最後に
歯は健康資産。一度失うと取り返しがつきません。
**「投資としての矯正」**を、ご自身の健康バランスシートと照らし合わせて、検討する価値があるか、ぜひ考えてみてください。
判断の入り口は、いつもの定期検診のときに 歯科医師に「噛み合わせもチェックしてほしい」 と一言添えるところから。咬合の診断は歯科医師が担う領域なので、ここは直接お願いするのが筋です。
普段のクリーニングを担当してくれる歯科衛生士さんとも、お口の小さな違和感(噛み心地が変わった、特定の歯が当たる等)を共有しておくと、チームでケアしてもらえる関係が作れます。
ご自身の健康バランスシートを健全にしていきましょう☺️
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。